社長ブログ【Vol.15】「えんができたな」

皆様こんにちは!
アイ・ペアーズ株式会社「mamo社長」こと伊藤衛です。

遂に昨日、ドンブラザーズが終わりましたね…
本当に素晴らしい最終回でした。あの展開からの神輿からのフル名乗り(50話目にして初)とか胸アツすぎる!
でもってトレンド世界一とか凄すぎる!!

話中の各メンバーとのやり取りや育ての親である陣とおにぎりを握り合うシーンでもうヤバかったのですが、最後のはるかとタロウの再会シーンが本当に素晴らしかった…。良いおっさんがスーパー戦隊を観て涙を流す日が来るとは思いませんでしたが、ここはもうタロウの笑顔と今回のブログタイトルにもなっている名文句に完璧にやられました…。何て表情だ…。

タロウを演じる樋口幸平さんは本当に素晴らしい役者さんになりましたね…。
樋口さんだけではなく、出演された皆さんの光り輝きっぷりがもう一年前とは段違いです。

今日の中では、犬塚翼と一緒に指名手配され逃げるソノニの嬉しそうな笑顔もとても印象に残りました。
宮崎あみささんはこの一年で一番演技が上達した一人かもしれませんね。

ちなみに、その直前のカットで自分を含む弊社のスタッフクレジットが特殊エンドロールの形で流れますので、もしご興味があれば注目してみてください(録画してなければアマプラで!)。なお、東映さんにご迷惑をかけるわけにはいかないためこちらでは画像は貼りませんので、キャプチャーは下記の東映さん公式HPか他のニュースサイトをご覧ください(笑)。

https://www.toei.co.jp/tv/donbrothers/story/1231310_3246.html

※上記の公式ブログ最終回はいつにも増して熱のこもった名文となっています。是非お読みください!

このブログを書くに当たり、いつがうち的なドンブラザーズのキックオフだったかカレンダーを遡ってみたところ、初回の打ち合わせは2021年9月に行われていました。この打ち合わせではモーションキャプチャーシステムMVNの日本総代理店であるゼロシーセブンの池田取締役から弊社の東映さんへの紹介が行われましたが、思えばもう1年半前なのですね…。

そこから我々は12月のクランクインまで、どうやってイヌブラザーとキジブラザーを効率よく動かそうかMVNと格闘しながら研究して行きまして、最終的にはMVNの良さである無線LAN経由でのデータ収録を諦め、掟破りの有線接続でデータ欠落を抑えるという荒業を生み出したのでした。自分はこれをエヴァにちなんでアンビリカルケーブル方式と呼んでおりますが(笑)。

収録風景は公式ブログのこちらの回をご覧いただければ分かると思いますが、本当にリアルタイムにモーションキャプチャーデータを3DCGモデルに流し込み、現場で合成まで完結させていたのです。弊社のパートはまさにこのモーションデータを収録して合成担当に送り込む役割でした。

ちなみに東映さん用語でいう「L合(えるごう)」というのは「Live合成」の略語で、弊社もその一番末席に入れていただいていた次第です。オープニングの定位置もL合班の最後なのですが、このL合班の連携がまた凄いのですよ…。この辺はL合班ディレクターである遠藤さんの調整力の賜物かと思います。

監督は画面を見ながら演出を行い、反応するスーツアクターさんや役者さんと数十メートル離れたところでキジブラザーとサルブラザーのモーションアクターである高田さんと岡田さんが作り出すモーションをダイレクトに画面に送り込むという本当に荒業とも言うべき革新的な収録方法です。さすが実験精神旺盛なスーパー戦隊です!

いつも自分はこれらの綿密なアクションプランを頭の中で作り上げている福沢アクション監督の凄さと、JACさんを始めとするスーツアクターの皆さんのコラボレーションに惚れ惚れしておりました。またみんな良い人たちばかりで現場の雰囲気があったかいんですよ…。我々のような新参者も暖かく迎えてくださり、本当に感謝しております。

自分が最初に現場を見学したのは2022年1月に行われたOP撮影でしたが、まぁ寒かったです…。
神輿を担ぐ皆さんが本当に寒そうで、自分も何回トイレに行ったか分かりませんが、その時に田崎監督が福沢アクション監督に仰っていた言葉が忘れられません。

「完成した映像を観た子供たちはCGだから何でも出来ると思ってるだろうけど、我々はこんな大変な苦労をして映像を作っているんだよ!」と。

撮影を観ている自分も本当にそう思いました…。キャストさんだけでなく、大勢のクリエイターさん、スタッフさんが一体となったスーパー戦隊チームだからこそ、こうした一年にわたる苦労の連続を乗り切れるのでしょうね。弊社から参加した延べ十人以上のスタッフが全員口を揃えて楽しい現場だったと言っておりますし、自分の見た現場の光景もまさにその通りでした。

思えば、我々がその一員になるなんて全く想像もしていなかったのですが、これは先日惜しくも亡くなられた東映の手塚前社長が「来年の戦隊は多少失敗しても良いから思い切ったことをやろう」と企画の段階で仰られた(と伺っております)ことが大きいのではないかと思っております。そうでなければ、部外者である我々にドンブラザーズの一番尖った部分である「変身したら2人がCGキャラクターになる」というスーパー戦隊の歴史を塗り替えるような大役をお任せいただくということはあり得なかったのではないでしょうか。

自分としては、初回放映時とかもうメッチャドキドキで、放映直後に聴こえてくるCGの評判がもう胸にグサリグサリと刺さり、結局その後一回もエゴサはせず、5ちゃんのスレッドも先週初めて見ました。もっとも、放映が進むにつれてストーリーの面白さ(ぶっ飛び方)で世間が大きく盛り上がり、もはやキジブラザーとイヌブラザーがCGであることはもう誰も気にしなくなっていましたね(笑)。

でも、最初の方と最後の方は全然L合の出来も違ってるんですよ! 弊社スタッフの現在のモーキャプ練度と来たら、もう世界最強だと思っています。1年間ドンブラザーズの現場で修行したのですから当然ですよね。スーパー戦隊シリーズは俳優さんを育てる最高の学校という話をたまに聞きますが、技術スタッフにとっても同じだと思います。最後の方は一年酷使した機材の耐久性もギリギリになって来ていましたが、練度で全てカバーしていました。

自分は夏以降多忙を極めてそんなに現場に行っていないのですが、最後の方はうちのスタッフもすっかりスーパー戦隊チームの熟練メンバーとなり、安心して見ていられました。最初の頃は右往左往で自分もケーブル巻いたり荷物運んだりして手伝いましたからね…。L合班の皆様、一年間有難うございました。そして、本当にお疲れ様でした!

こうしたモーションキャプチャーやCGモデルの制御に関する現場での経験は弊社の技術レベルを大きく押し上げ、昨年秋以降に開催された「ペルライ」や「ささつづWinter」に繋がって行くのですが、特に後者は弊社のドンブラ班を総投入した総力戦で、モーションキャプチャー担当、モーション修正担当、振付、アクター、配信の全てにドンブラザーズの現場でスタッフとして一年揉まれたメンバーが入っておりました。でなければ1ヶ月という短期間にあのクオリティーの12曲フルライブなんて不可能です。

その意味では、ささつづWinterはドンブラザーズのお蔭で実現出来たようなもので、言うなればささらちゃんとつづみちゃんはキジブラザーとイヌブラザーのいとこのようなものでしょうか(笑)。ライブを開催してから2ヶ月で「伝説のライブ」とか公式で言われていてそれはさすがに過大評価だと思うのですが(苦笑)、技術的にはスーパー戦隊由来の現場力に加えて、なヲタCTOと10年以上積み上げて来た合成音声キャラクターライブに関する弊社の知見や技術が投入されていますので、ある程度クオリティーは高くなって当然かなと思います。

ちなみに先日のささつづWinter再配信のチケット販売数が結構凄いことになっておりまして、これなら次回も近いうちに実現出来るのではないかと個人的には思っております。現在関係各位と企画を色々考えておりますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

こうしてこの一年半を振り返ってみると、ドンブラザーズによって本当に色々な「縁が出来た」としか言いようがないですね…。

特に我々にとっては、ドンブラザーズ以前と以後では会社の立場も出来ることも(良い方に)激変しましたので、こんなこともあるのかと面食らっておりますが、「まぁタロウなら仕方ない」とも思えるので、自分も大分大先生のシナリオに感化されているのかもしれません。

Vシネも発表されましたし、まだまだドンブラザーズは終わりではありません。
キジブラザーとイヌブラザーの行くところには必ずアイ・ペアーズあり、となるように頑張りますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

そして、来週からはいよいよキングオージャーが放映開始します。
キングオージャーでの弊社の役割はかなり面白いことになっておりますので、そちらの発表もどうかお楽しみに。

ではまた! アディオス!!

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