10月某日。
ぐずついた雨模様。
我々取材班はボカロライブEXというシークレットライブの潜入に成功した。
都内某所。六本木ヒルズが霧雨に遠くかすんで見える。
ライブ会場では
本番までギリギリの調整が続く。
立ちはだかった壁。いや、立ちはだかったのはスクリーンだった。
アミッドスクリーンという巨大な網戸。
そのスクリーンの裏にコスプレイヤーさんが立ち、演技をすることになっている。しかし、その子
に当てる照明が見つからないのだ。
照明は通常ステージ手前の上部から当てるものだ。しかし、それではアミッドのスクリーンが間に
あって、うまく当たらない。かといって、ステージ奥のライトは観客側からみると逆光になる。
スクリーンを手前にずらす?
——–舞台監督のCさんは当時のことをこう振り返る。
”絶対そんなことできないでしょ?アミッドがもしも観客のほうに倒れたりしたら。。演出と
安全ならやっぱり安全が最優先です。”———–
バンドのサウンドチェックが終わり、りはびりぃ~ずのリハーサル演奏が始まる。
時間は無慈悲だ。時間だけがスタッフの焦りをよそに規則正しく過ぎてゆく。
—照明担当のT氏は今だからこそ、ほくそ笑んで話してくれた。
T氏:”そのときね、なぁんかないかなぁって見回したのよ。そしたら、いつもは演出のために使う観客席を照らすライトがあったのよ。あれ、つかえませんか?ってね。ライブハウスの方は、一瞬固まって、
「ええっ?、あ、あれですか?そんな使い方したことないですよ」
だってさ(笑)”———
1筋の光が射した。
プロというのは、アマチュアとさほど変わらないと思っている。
違いは、あきらめない粘り強さと、逆境を乗り越える頓智だと思う。
その頃、Nくんは舞台裏で某システムの不具合と格闘していた。。つづく。
コメント