TVアニメ「それが声優」12話のライブシーンをお手伝いした話

皆様こんばんは(現在は夜なので)、毎週楽しみにしていた「それが声優」が終わってしまって、燃え尽き症候群気味のmamoです。

TVアニメ「それが声優」公式サイトはこちら

今週火曜にMXで放送された最終回をご覧になって、EDクレジットに「モーションキャプチャー」という項目があったことにお気づきになった方がひょっとしたらいるかもしれません。いないか(笑)。ともかく、そこには下記の表記がありました。

アイ・ペアーズ株式会社
なヲタ

そう、弊社です(笑)。そして、2013年夏につまごいで行われたボカコンこと「第0回世界ボーカロイド大会」のライブステージで共演して以来、我々と一緒に色々面白いことを追及してくれている3DCG界の鬼才なヲタ君の名前も。

ちなみに、最終回「査定」は真面目な話で、モーションキャプチャーが必要になる要素はありません。
それなのに、どうしてそこに我々の名前があるのか。今日はその話を書きたいと思います。

話は放映前の6月に遡ります。

そのちょっと前に某所でお会いした本作のアニメ制作会社であるGONZOのHさんに、弊社が最新のオランダ製モーションキャプチャーシステムMVN Linkを購入し、テストデータを収集したいと思っていることをお伝えしたところ、それでは今制作している「それが声優」という作品の最後の方にライブシーンがあるので、その作画用の当たり動画を作ってみませんか?というお話を頂きました。

どのシーンかもうお分かりですね。そう、これから恐らく神回として長く語り継がれることになるであろう12話「ライブ」のアンコールとして演奏された「光の先へ」です。

今から考えると、めっちゃ凄いことですよね。だって出来上がったのこれですよ、これ?

先に断っておきますが、このライブシーン、完全手描きですよ!
弊社が制作したのは、あくまで作画のための参考用3DCG動画ですので、お間違いなく!

さて、それでは弊社の担当したパートを順を追って説明します。

まず、初回の放映が終わった直後の7月初旬に、キングレコード様のスタジオに弊社のキャプチャー機材一式を持ち込み、振付師の先生方にご協力いただいて、モーションキャプチャーのセッションを行いました。

機材と言っても実はキャプチャースーツ3着と小さめのキャリングケースに収納可能なセンサー一式とノートPC一台です。それと、データ修正の確認用に小型ビデオカメラを4台。大人二人で手で運べちゃう分量です。値段はポルシェケイマンが新車で買えるくらいしますが(汗)。

そこで、センサーをフタフタ、いちご、リンリン役の先生方に付け替えていただきながら順次モーションキャプチャーを行ったのですが、何とNGゼロ、全部一発OKでした! つまり、4分の曲を3回フォーメーションで踊っただけなのです。驚きましたね…。プロ中のプロとはまさにこのことです。準備に1時間以上、更にセンサー付け替え時に20分ほどかかるので、2時間以上待機となる中でも集中力を切らさず、超キレッキレのダンスを見せて下さる先生方の凄さと来たら…。

※初回の大きな収録ということで、アドバイザーとしてお付き合いいただいたMVN代理店のゼロシーセブン池田さま、有難うございました!

そして、無事収録が終わり、なヲタ君の出番です。

MVNの場合、収録したデータの加工は割と不要なのですが、一般的なMayaや3ds Maxではなく、今回はなヲタ君の得意分野であるMMDで動画を制作することになっていました。そのため、立ち位置やモーションのブレ修正をするためのプログラムを書きながら3人バラバラのキャプチャーデータを統合し、MMDモデルを加工して当て込み、更に絵コンテの指示通りモーションを作っていく、という複雑な工程をなヲタ君が一人っきりで、しかも一週間以内に完成させる、という結構な修羅場となった次第です。

にもかかわらず、特に要求仕様にはなかったのに、MMDモデルをフタフタ、いちご、リンリンに似せて加工するという凝りよう。ドレスは当然イエロー・ピンク・モスグリーンで、フタフタはちゃんとメガネかけてるし。言われていたのはキャラ表に合わせた身長で作って下さいね、ということだけなのに、モデルを出来るだけ似せることに心血を注ぐ。相変わらずアホや…(誉め言葉)。

でもって、90秒のMMD動画が何とか完成し、GONZOの奥山プロデューサーとライブシーンの絵コンテ、作画を担当されたアニメーターの桑原さんが弊社にお越しになって、スクリーンにMMD動画を投影しながらカット割りの修正を行っていきました。90秒のシーンに半日以上かけて、アニメ本編より細かい48fpsのコマ単位でカットが変わるタイミングとカメラ位置を決めていきます。

これがね、凄かったんです。

桑原さんの絵コンテは事前に頂いていたのですが、もうその状態で画面が完璧に出来ているんですよ。動いてないのに完璧なライブ映像がそこにある。しかもアニメではついぞ見たことの無いような臨場感のあるライブ映像です。なヲタ君はその指示に従って事前にカメラワークを大まかに付けておいたのですが、それが二人が話し合ってタイミングとカメラアングルを修正していくだけで、全然別物になるのです。どんどん生きた映像になっていく。驚きましたね…。

アニメーターって凄いなぁ、みんなあんなバケモノなのかなぁと思いましたが、最終的に出来上がった放映を観て、我々はバケモノの中でも特別凄い方に遭遇してしまったことが判りました(笑)。桑原寿弥さん、凄いです。この方の名前は覚えていた方が良いですよ!

話を戻します(笑)。

そして、長時間にわたって行った検討セッションが終了し、その場で動画を書き出してお渡しして、なヲタ君パートは完了となりました。このMMD動画、皆さんにお見せ出来ないのが残念です。勿論、キャラクターは仮のものですし、背景もありません。ですが、桑原さんとなヲタ君という若い鬼才同士の火花を散らすようなセッションが具現化された、これはこれで素晴らしい作品だと思います。90秒verしかないのがホント残念です。

我々のキャプチャーデータは「光の先へ」フルコーラス分ありますし、将来どこかで特典映像等で何かの形になったら良いなと思っておりますので、皆さん、円盤やイヤホンズのCD、沢山買って下さい! 弊社も全部自腹で買ってますので(笑)!!

証拠はこちら

ちなみに、幾つかあるMMDにはあって本番にはないカットで、一カ所特に重要な変更があるのです。何故そこを変更したかは何となく想像がつきます。3DCGではカメラモーションとアイレベルは自由自在に動かせるのですが、人の手で作画するアニメではそうはいきません。なヲタ君の作業後に、念のため弊社にてMayaや3ds Maxで構図を読み込めるようにカメラモーションのFBX化を行って最終納品となったのですが、その後諸々検討されて背景も含めて全部手描きで行こうということになったのだと思います。結論としては、大成功だったと思います。放映後のネットに溢れる賛辞がそれを雄弁に物語っています。

繰り返しますが、あのライブシーンは全て手描き作画です。だからこそ、記憶に残る名シーンになったのだと思います。3DCG全盛の時代に、言うなれば絵コンテのセンスとリズムで勝負したわけです。贔屓目かもしれませんが、某あの作品とか某この作品のライブシーンを遥かに凌駕していたと思います。そしてあの複雑な照明や影のコンテ指示を実現した作画や背景担当の皆さん、本当に素晴らしい仕事でした! 出来るだけ良いライブシーンにしようと頑張った皆さんの熱意がとても良く表れていました。我々もその一助となれたのであれば、本当に光栄です…。

ここまで延々と説明して来ましたが、ぶっちゃけた話、本番では全く使わない「作画のための参考動画」にこれだけ手間がかかってるんですよ(汗)。GONZOさん、パネェっす(笑)。

何を言いたかったかというと、アニメというのは沢山の方の血と汗と涙から生まれて来るのだということです。よっぽど情熱がなきゃ出来ませんよ、こんな大変な仕事…。今回我々はそうしたアニメ制作の一部に携わることが出来て、このことを嫌と言うほど思い知りました。皆さん、ホント尊敬します…。

本作の関係者の皆様、本当にお疲れ様でした!
そして、弊社にお声がけいただき、有難うございました!!
放映まで実に楽しい3ヶ月でした~♪

あ、ちなみに、何故我々がお手伝いした12話ではなく、翌週の最終話にクレジットがあったかですが、単に漏れていただけだそうですw

円盤ではちゃんと12話に載るらしいのですが、ある意味記念碑的な最終話にクレジットを載せていただいたわけですし、え?この回のどのシーンでモーキャプやったの?とネタになるので、逆に美味しかったかもwww

ということで最後にちょっと宣伝です。

上記の収録から3ヶ月経って弊社スタッフの練度も上がりましたので、昨日10/1に商用版モーションキャプチャーサービスをリリース致しました。我々はおバカなことであれば儲からなくてもやりますので(笑)、良かったら使ってやってくださいね~

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 今思えば、この手法ってプリビズですよね…
    「シン・ゴジラ」や「シン・エヴァンゲリオン」のずっと前にやっていたのですから、TVアニメではまさに先駆的な作品だったのではないでしょうか!?

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